城山キリスト教会 礼拝説教    
二〇二五年九月一四日             関根弘興牧師
               創世記四二章一節ー八節
                   
 創世記から士師記まで20
   「兄弟との再会」
 
 1 ヤコブはエジプトに穀物があることを知って、息子たちに言った。「あなたがたは、なぜ互いに顔を見合っているのか。」2 そして言った。「今、私はエジプトに穀物があるということを聞いた。あなたがたは、そこへ下って行き、そこから私たちのために穀物を買って来なさい。そうすれば、私たちは生きながらえ、死なないだろう。」3 そこで、ヨセフの十人の兄弟はエジプトで穀物を買うために、下って行った。4 しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄弟たちといっしょにやらなかった。わざわいが彼にふりかかるといけないと思ったからである。5 こうして、イスラエルの息子たちは、穀物を買いに行く人々に交じって出かけた。カナンの地にききんがあったからである。6 ときに、ヨセフはこの国の権力者であり、この国のすべての人々に穀物を売る者であった。ヨセフの兄弟たちは来て、顔を地につけて彼を伏し拝んだ。7 ヨセフは兄弟たちを見て、それとわかったが、彼らに対して見知らぬ者のようにふるまい、荒々しいことばで彼らに言った。「あなたがたは、どこから来たのか。」すると彼らは答えた。「カナンの地から食糧を買いにまいりました。」8 ヨセフには、兄弟たちだとわかったが、彼らにはヨセフだとはわからなかった。(新改訳聖書第三版)
 
 今まで見てきたように、神様がすべての人を救うために、まず、アブラハムをお選びに鳴り、「あなたの子孫によってすべての人が祝福を受けるようになる」と約束してくださいました。その約束は息子のイサク、イサクの息子ヤコブに受け継がれ、ヤコブの十二人の息子たちを通して神様の救いの御計画が進められていくことになりました。その十二人の息子の中で、創世記の最後の部分では、十一番目の息子ヨセフを中心に話が展開していきます。まず前回までの内容を振り返ってみましょう。
 ヨセフは父親に特別にかわいがられていました。それで、兄たちはヨセフを妬み、ヨセフを捕まえて、エジプトに行く商人に売りとばしてしまい、父のヤコブにはヨセフから奪い取った上着に山羊の血をつけて持っていき、「ヨセフは野獣にかみ殺されてしまったようです」と嘘をついたのです。ヨセフはエジプト王の侍従長ポティファルに買い取られました。ポティファルは、神様がヨセフとともにいて、ヨセフが何をしても成功させてくださるのを見て、全財産の管理をヨセフに任せるようになりました。しかし、ポティファルの妻は、ヨセフが自分の誘いに乗らないので逆恨みし、ヨセフが自分を襲おうとしたと言いふらしました。その結果、ヨセフは無実の罪で投獄されてしまったのです。しかし、牢の中でも主がヨセフとともにおられ、ヨセフが何をしても成功させてくださったので、監獄の長はヨセフを信頼し、すべての囚人の管理を任せました。ヨセフは悪いことばかり起こるように思われますね。しかし、すべての出来事の背後に神様の深いご計画があったのです。
 しばらくして王の高官である献酌官長と調理官長がヨセフのいる牢に入れられてきました。ある時、二人は同時に夢を見たのですが、その意味がわからずイライラしていましたが、ヨセフはすぐにその二人の夢を解き明かしました。三日後に献酌官長は釈放されてもとの地位に戻され、調理官長は木につるされて死刑になるという意味の夢だというのです。そして、実際にヨセフが解き明かしたとおりになりました。しかし、献酌官長はもとの地位に復帰するとヨセフのことなどすっかり忘れてしまったのです。その二年後、今度はエジプト王が不思議な夢を見ました。「ナイル川からつやつやした肉づきの良い七頭の雌牛が上ってきたが、そのあとから、醜いやせ細った七頭の雌牛が上ってきて、最初に上ってきた肥えた七頭の雌牛を食い尽くしてしまった」、また、「一本の茎によく実った七つの穂が出て来たが、そのあとから東風に焼けた、しなびた貧弱な七つの穂が出て来て、七つの良い穂を飲み込んでしまった」という夢です。誰も解き明かすことができません。そこで、献酌官長が自分の夢を見事に解き明かしたヨセフのことを思い出し、ヨセフはすぐに王のもとに召し出されて、王の夢を解き明かしました。「これから、七年間の大豊作の後、七年間の大飢饉がきます。ですから、大豊作の間に国中の町々に食糧を蓄えて飢饉に備えてください」と進言したのです。王は、非常に感心し、神から知恵を与えられているヨセフを、王に次ぐ地位に就かせ、エジプト全土を支配させることにしました。ヨセフは、獄中の奴隷から一夜にしてエジプト王に次ぐ権力の座に就くことになったのです。その時、ヨセフは三十歳でした。ヨセフの解き明かしのとおり、すぐに豊作の七年が始まりました。ヨセフは食糧を集め、町々に蓄える備蓄政策を徹底的に行いました。そして、結婚し、マナセ、エフライムと名付けられた二人の息子を得たのです。そこまでが前回の内容でしたね。
 今日はその続きの42章ー45章の内容を見ていきましょう。
 
1 最初の買い付け
 
 ヨセフの解き明かしのとおり、豊作の七年の後、エジプトや近隣諸国に大飢饉が起こり始めました。しかし、エジプトは、ヨセフの政策によって穀物を大量に買い付け、国中に備蓄していました。それを聞きつけた周辺諸国の人々は穀物を買うためにエジプトにやってきたのです。
 ヤコブ一族のいるカナンの地も飢饉に苦しみました。そこで、ヤコブは息子たちに言いました。「あなたがたは、なぜ互いに顔を見合っているのか。エジプトに行って穀物を買って来なさい。そうすれば、私たちは飢え死にしなくてすむだろう。」
 息子たちは、エジプトに行くのをためらっていたようですね。彼らは、弟ヨセフをエジプトに向かう商人に奴隷として売りとばしたわけですから、エジプトと聞くだけで後ろめたい気持ちを感じたのでしょう。
 しかし、このままでは飢え死にしてしまいます。兄弟そろってエジプトに買い出しに行くことになったのですが、父ヤコブは末息子のベニヤミンだけは行かせようとしませんでした。ヤコブは二人の妻と二人の女奴隷によって十二人の息子を得ましたが、その中でも最後の二人の息子ヨセフとベニヤミンは、最愛の妻ラケルから生まれたので、特別に大切にしていました。ヨセフがいなくなってしまったので、ベニヤミンだけは失いたくないと強く思っていたのです。そこで、十人の兄たちがエジプトに向かいました。そして、穀物を売る総責任者であるヨセフの前に出て、顔を地につけて伏し拝んだのです。昔、ヨセフは兄たちの束が自分の束におじぎをする夢を見ましたね。その夢が実現したのです。しかし、ヨセフがエジプトに来てから約二十年が経過していました。しかも、エジプトを支配する地位に就いているなど夢にも思いませんから、兄たちは相手がヨセフだとはまったく気づきませんでした。一方、ヨセフは、兄たちがすぐにわかりました。しかし、すぐに自分の正体を明かそうとはしませんでした。兄たちの心を探りたいと思ったのですね。そこで、エジプトの言葉で通訳を介して話し、「あなたがたはエジプトの隙をうかがいにきたスパイだろう」と厳しく追求し、出身地や家族について執拗に問いただしました。そこで、兄たちは、「しもべどもは、ただ食料を買い付けに来ただけで、正直者でございます。しもべどもは十二人の兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子でございます。末の弟は今、父といっしょにいますが、もうひとりはいなくなりました」と問われるままに明かしていったのです。父ヤコブが健在であること、また、同じ母親から生まれた可愛い弟ベニヤミンも元気だということがわかりました。しかし、「もうひとりはいなくなりました」という兄たちの言葉を聞いて、ヨセフはどんな気持ちだったでしょう。「私はいなくなったのではない。あなたがたが売りとばしたのではないか」と言いたくなったかもしれませんね。そこで、さらに兄たちの心や思いを確かめるために、また、弟ベニヤミンに会いたいという思いもあったのでしょう。ヨセフは、兄たちを三日間監禁所に閉じ込めてから、「あなたがたのひとりを監禁所に残して、ほかの者は飢えている家族に穀物を持って行きなさい。そして、末の弟をここに連れてくれば、あなたがたの言葉を信用しよう」と告げたのです。兄たちは、その言葉に従うしかありません。互いにこう言い合いました。「ああ、俺たちはヨセフにしたことで罰を受けているのだなあ。ヨセフがあわれみを請うても、俺たちは聞き入れなかった。それで今俺たちはこんな苦しみに会っているのだ。」兄たちは、自分たちの言葉はヨセフにわからないと思っていました。しかし、ヨセフは兄たちの言葉を聞いて感極まり、離れた所に行って泣きました。そして、また戻ってくると、二番目の兄であるシメオンを人質にし、他の兄たちの袋に穀物を満たし、兄たちが支払った代金の銀もこっそりめいめいの袋に袋の中に返し、道中の食糧を与えて故郷に送り出したのです。なぜヨセフがシメオンを人質にしたのかは書かれていませんが、長兄のルベンは、他の兄弟たちがヨセフを殺そうとするのを止めさせ、ヨセフを助けようとしましたが、シメオンは兄弟の中でも特にヨセフに辛く当たっていたからかもしれません。
 故郷に帰った兄たちは、父ヤコブにエジプトでの出来事を報告しました。そして、それぞれの袋を開けてみると、支払ったはずの銀が入っているではありませんか。自分たちが銀を盗んだ濡れ衣を着せられるのではないかと恐れました。
 しかし、エジプトにペニヤミンを連れていかなければ、シメオンを釈放してもらえません。それに、またエジプトに穀物を買いに行かなければ飢え死にしてしまいますが、今度行くときには必ずベニヤミンを連れていかなければならないと厳しく命令されているのです。
 しかし、ヤコブは、「ヨセフもシメオンもいなくなった。この上、ベニヤミンまでいなくなったら耐えられない。ベニヤミンはエジプトに行かせない。ヨセフが死んで、愛する妻ラケルの子で残っているのはベニヤミンだけだ。もしベニヤミンに何かあったら、私は悲しみのあまり死んでしまうだろう」と言って、ベニヤミンをエジプトに行かせるのを頑なに拒否したのです。長男のルベンは「もし私が彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、私のふたりの子を殺してもかまいません。彼を私の手に任せてください。私はきっと彼をあなたのもとに連れ戻します」と言いましたが、ヤコブは聞こうとしませんでした。
 
2 二回目の買い付け
 
 しかし、飢饉はさらに深刻になり、エジプトから持って来た穀物も食べ尽くしてしまいました。ヤコブは息子たちに「またエジプトに行って穀物を買ってきておくれ」と頼みました。しかし、ベニヤミンを連れていかなければ、どんな刑罰を受けるかわかりません。そこで、息子のユダが言いました。「あの子を私といっしょにやらせてください。私たちは出かけて行きます。そうすれば、あなたも私たちも、そして私たちの子どもたちも生きながらえて死なないでしょう。私自身が彼の保証人となります。私に責任を負わせてください。万一、彼をあなたのもとに連れ戻さず、あなたの前に彼を立たせなかったら、私は一生あなたに対して罪ある者となります。もし私たちがためらっていなかったなら、今までに二度は行って帰って来られたことでしょう。」
 長男ルベンは、先ほど「自分の子のいのちを賭けて連れ戻します」と言いましたが、こんどは四番目の息子ユダが「自分が保証人となり、責任を負います」と言って父を説得しました。ユダは、以前、ヨセフを平気で奴隷として売りとばしましたが、今は、「ベニヤミンのために自分が全責任を負います」と言うようになったのですね。
 とにかく、このままでは、一族全員飢え死にしてしまいます。ヤコブは覚悟を決めました。「全能の神がその方に、あなたがたをあわれませてくださるように。そしてシメオンとベニヤミンとをあなたがたに返してくださるように。私も、失うときには、失うのだ」と言って、息子たちに名産品の数々を贈り物として持たせ、また、前回戻されていた銀と今回の買い付けで支払う銀を持たせ、ベニヤミンとともに送り出したのです。
 さて、兄たちはエジプトに着くとベニヤミンとともにヨセフの前に出ました。ヨセフは、ベニヤミンがいるのを見ると、自分の家の管理者に「この人たちといっしょに食事をするから、家へ連れて行きなさい」と命じました。兄たちは、ヨセフの家に連れて行かれたので恐れました。「俺たちが銀を盗んだと言いがかりをつけて奴隷にするつもりではないか」と思ったのです。そこで、彼らは管理者に、「前回支払うはずの銀が、どういうわけか袋に入っていたのでお返しします」と言って銀を返すと、管理者は「安心しなさい。恐れることはありません。あなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたのために袋の中に宝を入れてくださったのに違いありません」と言うではありませんか。
 いったいどうなっているのだろうと思案していると、人質となっていたシメオンが連れて来られ嬉しい再会を果たしました。そして、ヨセフの家で足を洗い、ろばにえさを与えるうちに、彼らの不安と恐れが少しずつ消えていきました。
 ヨセフが家に帰ってくると、兄たちは贈り物を携え、地に伏してヨセフを拝みました。ヨセフは父ヤコブの安否を尋ね、同じ母ラケルの子である弟のベニヤミンを見ました。「ヨセフは弟なつかしさに胸が熱くなり、泣きたくなって、急いで奥の部屋に入って行って、そこで泣いた」と書かれています。
 ヨセフは顔洗い、改めて食事の席に行き、兄弟たちを年齢順に座らせたので、兄弟たちはヨセフが自分たちの年齢がどうしてわかったのかと驚きました。そして、ヨセフの食卓から一人一人に分け前が与えられましたが、ベニヤミンだけには五倍の分け前が与えられたのです。兄弟たちは歓待を受け、明け方、送り出されました。無事に全員揃って故郷に帰れると安堵したことでしょう。
 しかし、ヨセフは彼らに最後のテストを課したのです。ヨセフは家の管理者にこう命じました。「あの人々の袋を彼らに運べるだけの食糧で満たし、おのおのの銀を彼らの袋の口に入れておけ。また、私の銀の杯を一番年下の者の袋の口に、穀物の代金といっしょに入れておけ。」そして、兄弟がまだ遠くへ行かないうちに管理者を彼らのもとに遣わして、こう言わせたのです。「おまえたちは、あれだけ歓待を受けたのに、ご主人様が大切になさっている銀の杯を盗んだな。善に悪を報いるのか。」
 兄たちは大混乱です。前回はスパイの嫌疑をかけられ、今回は泥棒の嫌疑がかけられたのですから。彼らは「とんでもございません、もし銀の杯が誰かの袋から見つかったら、その者を殺してください。そして、私たちも御主人の奴隷になります」と必死で言いました。そこで、一人一人の袋が年長の者から年下の者まで順に調べられていきました。すると、最後のベニヤミンの袋の中から、銀の杯が出て来たのです。彼らは、青ざめ、着物を引き裂いて町に引き返しました。
 
4 ユダの決断
 
 ヨセフの家に入ると、彼らはヨセフの前で顔を地に伏せました。ヨセフに責められると、ユダはこう答えました。「私たちはあなたさまに何を申せましょう。何の申し開きができましょう。また何と言って弁解することができましょう。神がしもべどもの咎をあばかれたのです。今このとおり、私たちも、そして杯を持っているのを見つかった者も、あなたさまの奴隷となりましょう。」しかし、ヨセフは「杯を持っているのを見つかった者だけが、私の奴隷となればよい。ほかのあなたがたは安心して父のもとへ帰るがよい」と言うのです。兄たちがベニヤミンに対してどのような態度をとるか試そうとしたのですね。 するとユダがヨセフに近づき、切々と訴えました。「父は、愛する妻の忘れ形見としてたった一人残されたベニヤミンをとても愛しています。もしベニヤミンが一緒に帰らなかったら、父は悲しみのあまり死んでしまうでしょう。今回、エジプトにベニヤミンを連れてくる時、私は、ベニヤミンを必ず連れ戻すと父に約束したのです。ですから、私をベニヤミンの代わりに、あなたの奴隷として、ベニヤミンを帰らせてください。あの子が一緒でなくて、どうして私は父のもとに帰れましょうか。父が嘆き悲しんで死んでしまうのを見たくありません。」
 ユダの言葉を聴くと、ヨセフは、自分を制するが出来なくなってしまいました。自分をエジプトに売り飛ばした張本人であったユダが、自分の命にかけて、自分が身代わりになってベニヤミンを救おうとする姿に、ヨセフ自身の心も完全に氷塊したのです。彼は自分を制することができなくなって、ヨセフは家臣や僕たちを外に出し、兄弟と自分だけになると、声を上げて泣き、ついに兄弟に打ち明けたのです。「私はヨセフです。父上はお元気ですか。」兄弟たちは、驚きのあまり、声も出ませんでした。ヨセフは、続けて言いました。「私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。今、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。この二年の間、国中にききんがあったが、まだあと五年は耕すことも刈り入れることもないでしょう。それで神は私をあなたがたより先にお遣わしになりました。それは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによってあなたがたを生きながらえさせるためだったのです。だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。神は私をパロには父とし、その全家の主とし、またエジプト全土の統治者とされたのです。それで、あなたがたは急いで父上のところに上って行き、言ってください。『あなたの子ヨセフがこう言いました。神は私をエジプト全土の主とされました。ためらわずに私のところに下って来てください。あなたはゴシェンの地に住み、私の近くにいることになります。あなたも、あなたの子と孫、羊と牛、またあなたのものすべて。ききんはあと五年続きますから、あなたも家族も、また、すべてあなたのものが、困ることのないように、私はあなたをそこで養いましょう』と。さあ、あなたがたも、私の弟ベニヤミンも自分の目でしかと見てください。あなたがたに話しているのは、この私の口です。あなたがたは、エジプトでの私のすべての栄誉とあなたがたが見たいっさいのこととを私の父上に告げ、急いで私の父上をここにお連れしてください。」
 ヨセフは、ここに遣わしてくださったのは、神なのです、と告げました。ヨセフは決して兄たちの乱暴な行為や愚行を不問に付したわけではありません。今回見たようにちょっと意地悪なんじゃないのと思われるほど、彼らをテストし、追い詰め、考えさせ、どのような行動をとるのかをひとつひとつ見ていきました。そして、兄弟達の姿、特にユダに関しては、父を心配し、一同の身代わりになってもよい、とまで言うほどになっていたのを見たのです。
 ヨセフは、兄たちに、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしないでください。神がいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです、と言い切っています。これまで、毎週のように、情けない話や残虐な話、悲しい話、まるで心が暗くなるような話が重なっていきました。でも、ヨセフのエジプトでの今回の姿は、知恵を用いて、兄弟達に自分達の姿を考えさせ、反省させ、涙を持って赦すという姿です。そして、その背後に主なる神様がヨセフと共にいてくださったという事実があるのです。
 
 さて、次回は、ヤコブ一族がエジプトに移住し、ヨセフは父ヤコブと感動の再会を果たします。ヤコブはエジプトで波乱に満ちた生涯を閉じることになるのですが、最後にヤコブが何を語ったのか、次回、見ていくことにしましょう。